珈琲


旅の途中  立ち寄った店で   私は珈琲  掻き混ぜる

砂糖を入れて  ミルクを入れて  濁った珈琲  掻き混ぜる

回り始めた 珈琲 もう止まらない  このまま 濁ったままで  回り続ける

くるくるくる回る  誰を巻き添え  進むことも  許されない

くるくるくる回る  底は見えない  元の黒には  戻れない




ドレス姿の  オルゴール人形  哀れむ顔で  見下ろされ

睫毛を上げた  美しい目で  濁った珈琲  眺めてる

何色にも 染まらない 黒のはずが  濁って 掻き回されて  前も向けない

くるくるくる回る  口に出せない  旅の途中  思ったこと

くるくるくる回る  ただ流されて  リズムに合わせて  踊れない

くるくるくる回る  気付かないまま  誰もが流れに  巻き込まれ

くるくるくる回る  もう戻れない   私の  珈琲